キリル・ペトレンコ&ベルリン・フィル/ショスタコーヴィチ:交響曲第8~10番 CD2枚組およびBlu-ray
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と首席指揮者キリル・ペトレンコによるショスタコーヴィチの交響曲第8、9、10番は、「ファースト・エディション」に続く2作目のボックス・セットとなります。本セットは、新型コロナウイルスのパンデミック中に行われた録音です。2020年11月2日から30日まで、フィルハーモニーは新型コロナウイルスの感染拡大に伴うドイツ連邦政府と州政府の制限措置により閉鎖されることになりました。交響曲第9番は閉鎖直前の10月31日に、そして11月13日に演奏された交響曲第8番は無観客公演となりました。閉鎖直前の公演となった2020年10月31日の公演では、この後計画されているホール閉鎖を「沈黙」で表現するために、ジョン・ケージの《4分33秒》が急遽演奏され、象徴的な公演となりました。
交響曲第8番は第2次世界大戦の最中に書かれ、悲しみと絶望、そして美しさと希望が刻印されています。ベルリン・フィルとペトレンコは観客のいないコンサート・ホールに向けて、この演奏がこの時期に人々の架け橋となることを願ってプログラムしました。ペトレンコはこの時の演奏について「ベルリン・フィルと私は、ショスタコーヴィチの交響曲を聴衆のいない会場で、それでもあらゆる聴き手に届くように演奏しました。それは特異な体験でした」と語っています。第2次世界大戦末期、ショスタコーヴィチは戦争の勝利を讃える作品を書くことを期待されていましたが、彼はこれらの主張を退け、続く交響曲第9番ではヒロイックな栄光を明確に拒否し、軽妙で人を小馬鹿にしたような異なる作品を完成させ、強い非難を受けることとなりました。
最後に、スターリンの死後、初めて書かれた交響曲第10番。スターリン時代を想起させるような抑圧的でしばしばグロテスクな音楽が続きますが、最後は希望に満ちた楽章で締めくくられます。ペトレンコはこの作品についてこう言います。「ショスタコーヴィチは、スターリンの軛から解放され、自身の創造力を再び見出したのです。長くつづいた闇に、再び光が射した瞬間でした」
キリル・ペトレンコはこう語ります。「極めて限られた条件下でのみ合奏することができたパンデミック期に、私はショスタコーヴィチの音楽をかつてないほど身近に感じたのです。さらに、本盤が世に出る今、ショスタコーヴィチの音楽は、単に過去の声であるだけでなく、生々しい今日性を帯びてしまいました。ショスタコーヴィチの音楽は、とりわけ今日のような時期に、自由と民主主義の理想を信じるために必要な自信と力を私たちに与えます。彼は、私たちを勇気づけてくれるロールモデルなのです」
本作の表紙を飾るのはドイツの写真家トーマス・デマンドの作品。無数のロッカーが壁一面に並ぶ光景は、抑圧され閉ざされた環境を象徴しており、このショスタコーヴィチの交響曲を表現しているようにも見えます。さらに、オリジナルの解説書に収録された一見美しい花々の写真にも想像力を働かせることができ、アートワークとしても充実した内容となっています。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
キリル・ペトレンコ
ショスタコーヴィチ
交響曲第8番ハ短調 op. 65
交響曲第9番変ホ長調 op. 70
交響曲第10番ホ短調 op. 93
お選びいただける商品タイプ
-
CD & Blu-ray
-
Download